少年野球指導者のための子供のバッティング練習法・上達させる方法!

少年野球のバッティングの指導に悩んでいる方へ。

 

ボールを打つという動作は実生活ではほとんどしません。
だから自然と身につくものではないのです。

 

だからこそ正しい打ち方を子供達が身につける為にも、指導者には覚えて欲しいと思います。

 

特に間違った身体の使い方を覚えてしまうと、その後、打つのが嫌になり、ますます不振を招き、せっかく楽しい野球が苦痛になることさえあります。

 

また、プロ野球の選手でも4割もヒットが打てず、6割以上ミスするんだから、打てなくて当たり前的な変な常識が一般化しています。

 

バッティングは科学です。
きちんとバッテイング理論が分かり、練習することで確実に打率は上がります。

 

普通、バットは振るものだと勘違いしている人が大勢います。
振るから当たらないんです。(笑)

 

バットはボールを打つ道具だという事が心底理解出来れば、空振りすることはほとんどなくなります。
正しいバッテイング理論と練習で自信に満ちたプレイヤーが増えるでしょう。

 

振ると打つの関係で分かりやすいヒントを出します。
カナヅチとくぎがそうです。カナヅチはくぎを打つ道具です。

 

なんとなくカナヅチを振っても、くぎの頭に当てるのは難しいですね!
しっかり狙ってくぎの頭を打つんです。

 

野球の共通の動作

(1) 利き目

まず最初に利き目があるということをお話したいと思います。
腕に利き腕があるように目にも利き目というものがあります。
ここでは利き目の認識をしていただきます。

 

利き目は見やすい位置に深く関係するため、打ち方や捕球の仕方に影響があります。
これを知らないと全く教える事が出来ません。

 

右投げだから右打ちということも無ければ左投げだから左打ちという事もありません。

 

利き目が右目なら右打ちの方がボールが見やすいんです。
逆に、利き目が左目なら左打ちの方がボールが見やすいんです。
見やすいから打ちやすい。当たり前のことですよね?(笑)

 

それを、左打者の方が一塁に近く、打者としては左打ちの方が有利だからという
理由で右目が利き目の選手を左打ちに変える指導者がいます。

 

わざわざボールが見にくい打席に立たせる訳です。
練習である程度打てるようになりますが、それはほとんど選手が勘でボールを打っているようなものです。

 

選手は監督命令なので逆らえません。
そんな無茶をさせる監督がたくさんいます。
人間の目は両目で一つの働きをします。
利き目で物を見て、もう一方の目で距離感を測っています。

 

本人が右打ちを左打ち変えたいと言っても理由を説明して思いとどまらせるのが、
監督の役目です。

 

理由を説明して、それでもどうしても本人がやりたいと言うのであれば、させてみてもいいでしょう。

 

本人もなぜ打てないかが分かっているので一層努力するでしょう。
少年野球の指導者は入部した子供の利き目を一番に調べてあげて下さい。
利き目が左なら左打ち、利き目が右なら右打ちです。
利き目が右目の場合、右打ちの方が結果が出ます。
結果が出ると自信になるし、楽しいものです。

 

楽しいから練習する。
練習するから上手になる。
上手になるから楽しいという上昇のスパイラルになります。

 

(2) 利き目の調べ方

簡単に調べる方法は子供に次のことをさせます。
両手を前に伸ばし、手の甲を上に向けます。

 

そのまま指先を上に向け親指以外の4指を直角に重ね、親指の付け根あたりに輪を作り、その輪を出来るだけ小さくさせて、2〜3m 離れた位置で、指導者の右目(左目でも良い)を両目で見るようにさせると、指導者から見ると必ずどちらか一方の目しか見えません。

 

その目が利き目です。

 

例えば、右目が見える場合は物を右目で見ているということです。
そして左目で距離感を測っています。
左目が見える場合は物を左目で見ているということです。

 

そして右目で距離感を測っています。
利き目が左なら左打ち、利き目が右なら右打ちです。

 

打つ瞬間の軸足(右打者の場合)

まず、バッティングの動作について考えて欲しいのですが、打つ時の軸足はどちらの足でしょう?
右打者の場合、最初、右足が軸足で構えます。

 

(1) 後ろ重心ならば軸足は右足

聞きなれない言葉ですが、うしろじゅうしんと言います。
打つ瞬間の軸足も右足という使い方になります。
後ろ重心の選手は終始右足が軸足です。最初から最後まで右足を軸にして身体を捻る打ち方です。
右足の力で打つ感じです。

 

(2) 前重心ならば軸足は左足

最初構えた時は右足が軸足ですが、踏み込んだ足が地面についた瞬間に左足が軸足になります。
踏み込んだ左足を軸にして身体を捻る打ち方です。

 

軸足を捻り、捻り戻しの力を利用する方が身体の負担が少なくて無駄な力も入らないし、素早く対応出来ますので打つ時には絶対に有利です。故障もしにくいです。

 

軸足を捻り、ひねりもどしの力を利用する!!

 

前重心

人間は生まれつき前重心の人と後ろ重心の人がいます。
何気なく立っていても前に重心がある人は前重心で後ろに重心がある人は後ろ重心です。

 

バッテイングの時に踏み出した足付近(ピッチャー寄り)でボールを打つのは前重心の人の打ち方で、軸足付近(キャッチャー寄り)でボールを捉えて打つのは後ろ重心の人の打ち方です。

 

前重心の打ち方で分かりやすいのは元メジャーリーガーのイチロー選手です。

 

後ろ重心の打ち方で分かりやすいのは同じく元メジャーリーガーの松井秀樹選手です。

 

イチロー選手の打ち方を三塁側ベンチから見ていると想像して下さい。
踏み出した右足か、それよりもピッチャー寄りでボールがバットに当たります。

 

この時踏み出した右足に80〜90%体重が乗っている状態です。
前重心の打者はこの方が打つ瞬間に力が入ります。

 

今度は松井選手の打ち方を三塁側ベンチから見ていると想像して下さい。
踏み出した右足よりキャッチャー寄りでボールがバットに当たります。

 

この時左足には、まだほとんど体重が残っている状態です。
後ろ重心の打者はこの方が打つ瞬間に力が入ります。
イメージ出来ましたか?

 

イチロー選手に松井選手の打ち方をさせても、松井選手にイチロー選手の打ち方をさせても結果的には力が入らず、非常に打ちにくい打ち方になってしまいます。

 

これは持って生まれたもので、利き目と同じようなものですから、自分が前重心なのか、後ろ重心なのかを最初に把握しておきましょう。

(1) 頭の位置

前重心でも後重心でも共通して言えるバッティング理論があります。
それは、頭の位置、足の使い方、腕の使い方です。
ここでは、頭の位置について簡単に説明します。

 

まず、打つ時に構えますが、この時の頭の位置とボールがバットに当たる瞬間の頭の位置は出来るだけ動かさないというのが基本です。

 

それは、なぜか?
頭の位置が動くと目の位置も動くからです。

 

ピッチャーが投げたボールを頭を固定して見るのか、頭を動かしながら見るのかということです。

 

出来るだけ頭の位置を固定して見る方がボールが見やすい。見やすいから打ち
やすいという簡単なことです。(笑)

 

そのために大事になるのが足の使い方になります。特に軸足の使い方がポイントです。

 

(2) 軸足の使い方

先ほど第 2 章の軸足で足をひねってひねり戻す使い方をします。と書きました。
これはなぜかと言うと、こうしないと体重移動する時に頭の位置が大きく動いてしまうからです。

 

軸足をひねって足の内部に力をため、その力を利用すればスムーズに頭の動きを最小限にしながら踏み出す体重移動が出来ます。
俗にいう迎えに行かない打ち方が出来るのです。

 

しかも、この打ち方は速い球に強いので、振り遅れることが少なくなります。
完全にマスターすれば速い球が簡単に打てます。

 

バッティングの基本はストレートを打つことですから、これが出来ずに変化球は打てません。

 

相手ピッチャーの自信を打ち砕くにはストレートのスピードに遅れずに、しかも打ち損じる事なく、完璧に打ち返すことです。

 

1 番バッターから 9 番バッターまで全員が、これをすると相手ピッチャーの精神的にも肉体的にも消耗度合いが激しくなり、これだけで試合を優位に進めることが出来ますので、あとはいかに失点を少なくするかという事だけを気をつければ良いのです。

 

野球はお互いに点を取り合うゲームです。
10 点取られても、11 点取れば勝ちです。いつでも点が取れる力があれば、精神的に余裕が生まれます。心から野球を楽しむことが出来ます。

 

逆にチームが負けたとしても個人的にバッティングが絶好調ならば、野球が楽しいものです。(笑)

 

私事で恐縮ですが、事故で野球が出来なくなる前年から、毎試合フェンス越えのホームランを打っていました。

 

全身 17 箇所の骨折で 4 ヶ月間の入院生活を終えて退院後一週間目のことです。
右足関節の骨が粉砕骨折している状態で装具をつけ、1 回裏無死満塁の場面で4 番打者の代打に登場して、左翼フェンス越えの満塁ホームランを打ちました。

 

レフトポールまで95m の普通の大きさの球場です。
ダイヤモンド一周は走れないので超ゆっくり歩きました。
それが精一杯の早さです。
ほんとに無茶苦茶な監督です。(笑)

 

せめて 5 番打者か 6 番打者の代打・・・・。

 

いやいや問題はそこではなく、足の骨がまだ付いていない状態で、退院後練習もしていないのに、なぜホームランが打てたのか?

 

それは、バッティング理論が正しかった証明だと思います。
正しい打ち方で打つと打ちやすいんです!
守備についている相手選手(バッテリーを除く全員)から拍手で祝福されました。

 

今考えても夢のような瞬間です。
骨折がひどかったので元通りにはならないし、骨が付くまで 3 年間かかりました。

 

(3) 腕の使い方

右打者の場合で説明します。
左手は肘を胸に付け、手首を立てます。
バットを左手 1 本で持つ感覚です。
右手にはほとんど力を入れません。
肩と肘の力を抜き、楽な姿勢で構えます。
打ちにいく時には、必ず肘から始動します。
ボールがバットに当たる瞬間の右手はカナヅチでくぎを打つ要領です。
簡単過ぎて拍子抜けでしょ?(笑)

 

プロの選手が一番難しいというのが、力を抜くことなんです。
バットを持つので力が入りますがこれを左手だけにすることで右手の肩から指先まで力を抜いて構えることが出来ます。

 

あとは両肘をつけるようにして力の分散を減らし、くぎを打つ感覚で OK です。

 

まとめ

以上、簡単に説明をさせていただきましたがいかがだったでしょうか?
私が野球に関心を持ち、夢中になった40年間の集大成の一部です。
野球に関わる皆さんのお役に立てるものだと自負しています。

 

今回はボールを打つ部分に光をあてました。
他にも守備、走塁、練習法、実践編などをレポートにしたいと考えています。
ご意見や感想などいただけましたら光栄です。

 

このレポートはすべての野球に関わる皆さんへ・・・特に・・・
野球少年に捧げます!!

 

(1) おさらい
@ 利き目と軸足
A 前重心と後ろ重心
B 頭の位置
C 軸足の使い方
D 腕の使い方

 

(2) バッティング

バッティングは見やすい形があり、リラックスして
バットを振るというより打つ意識が大切である。
知識としてしっかり子供達に伝えて下さい。
小学校高学年、特に6年生になるとちゃんと理解出来ます。

 

理解が出来れば放っておいても勝手に上手になります。
あとは、正しい打ち方を反復練習することで、まず空振りがなくなります。
しかも、思い通りにボールを打ち返せるようになれば、自信になります。
この小さな自信の積み重ねで子供達は見違える程の成長をします。
出来ない事が出来るようになるというのは、0から1になるということです。

 

こういう経験を野球を通して数多く味あわせてあげて欲しいと切に願ってます。
きっと、子供達の人生の土台になることでしょう。

 

おわりに

プロ野球の選手でもスランプがあります。
これは、あくまでも自分の仮説ですが、人間の身体のしくみやバッティング理論が分かっていない為、チェックするべきポイントが分からないからだと思います。

 

自分が少年野球の監督時代に子供達にいつも話していたのは、意識して努力すればそうなる!です。

 

実際にそうなりました。
腕立て伏せが1回も出来なかった子供が小学校を卒業するまでに腕立て伏せ100回出来るようになりました。
足が遅かった子供がびっくりするほど足が速くなりました。
完全試合を意識して頑張ったピッチャーが完全試合をしてしまいました。

 

卒業するまでにすべての子供にホームランを打たせるからと約束をして、見事にどの子も最低1回はホームランを打ちました。
もちろんランニングホームランですが。(笑)

 

勉強でも同じです。
意識して努力すればそうなります!
空振りをしなくなりますので安心して頑張ってください。(笑)