記憶術の種類と記憶力をアップさせる具体的な方法

脳は左脳と右脳と、それぞれ得意な領域が分かれているが、
完全に分かれているのはではなく、両半球がすべての領域で機能していることがわかってきた。

 

芸術家が直感的な右脳が、物理学者は論定的な左脳が発達していると考えられているが、実はそうではなく、バランスがとれている。

 

脳のさまざまな領域を活用すれば、脳が全体的に有能になっていく。
左脳と右脳の相乗効果によって、独創的で偉大な仕事をすることができる。

 

○活発で正常な健康的な脳は、加齢による脳細胞の損失はまったく見られない。
記憶力は、心がけ次第である。

 

○人は話を聞くとき、記憶はすべての言葉を取り込んでいる。
人の話を理解するために、記憶が言葉のひとつひとつをチェックしている。
移動中も、周囲の状況を記憶と照らし合わせて常にチェックしている。(無意識に)
意識的に記憶しようとしてなくても、脳は膨大な量の情報を取り込んでいる。

 

○脳の中の記憶を取り出すことを「想起」という。

【記憶のプロセス】

1)「記憶」として脳内に取り入れる
(この能力は極めれ効率的で強力である)

 

2)脳内に記憶を貯蔵し、保持する。

 

3)脳内の貯蔵庫から記憶を想起する。

 

【想起しやすい情報とは】

1.最初と最後

中間の情報は忘れやすい。
最初のほうが覚えやすい→初頭効果
最初ほどではないが、最後のほうが覚えやすい→親近効果

 

この効果を最大限に利用するためには、適切なタイミングで休憩を入れる。
このことを利用して、印象に残るプレゼンをするときは、「最初」と「最後」を演出する。

 

中だるみしやすい中盤では、ジョークや比喩、ジェスチャーなどを活用し、聞き手の頭の中にイキイキとしたイメージを生み出せる、大切なことを繰り返すなどの工夫をするとよい。

2.つながりがあること

他の情報と結びついていると、連想できる。

 

3.目立つこと

何か目立つ独特の情報が覚えやすい。
異質なもの
→フォン・レストルフ効果

4.繰り返されたこと

繰り返されることは記憶に定着しやすい。

5.興味や関心の度合いが高いこと。

○記憶は嘘をつくことがある。
連想・関連づけが記憶の精度を決める。
頭に浮かんだイメージから連想を広げるという知的行為は、常に行われている。
不適切な関連づけが行われると、正確に記憶・想起できない。

 

○休憩を取るとよい。
20分から最大60分で休憩を取る。
それより短いと学んだことを吸収するための時間が足りない。
逆に60分以上になると集中が途切れてしまう。
音楽を聴いたり、エクセサイズしたり、家族や友人と話をしたりすることによって、頭と体の緊張をほぐしたほうが学習効率は高まる。

 

○復習すると短期記憶を長期記憶に移行する
学習しただけでは、まず短期記憶に収められる。このままだと、長期記憶をとして残るのは、数パーセントだけ。
適切なタイミングで復習を5回以上繰り返せば、より多くの情報を短期記憶から長期記憶に移行させることができる。

 

学習後の記憶を長期記憶に移行するには

1回目の復習:学習終了後、しばらくして、短時間で復習する。
これだけで、記憶量に大きな差ができる。

 

2回目の復習:24時間後に復習する。
記憶は一週間から最大1ヶ月程度、高い水準で保たれる。
以降の復習: 1週間後、1ヶ月後、3〜6ヶ月後に復習を繰り返す。

 

復習を繰り返すことで、情報は次第に脳に深く刻み込まれる。
そうすると、記憶量がそれまでに学んだこと以上に増えてくる。
復習を繰り返すうちに、脳の中でも、それまでに勉強したすべてのことを結びつけはじめる。
その関連づけにより知識が拡張していく。
長期記憶になれば、自動的に思い出せる。

 

○新しい本を読んでも、情報量が多いほど深く早く理解できる。
情報量が多いほうが、新しい情報を紐づけるためのフックがたくさん あり、簡単に「関連づけ」ができる。

 

○脳は飽和しない
詰め込みすぎてこれ以上は覚えられない、という事はない。
逆に、知っている情報が少ないと、さらに知るのが困難になる。
関連づけするフックがないと、脳が手がかりを探しまわっているような状態になってしまう。

 

○記憶のリズムと特徴を学習に活かす
あらかじめ休憩時間を計画に入れておくと、休憩を取れば体のコリや緊張感がほぐれて、脳は休憩を楽しみにしてモチベーションもあがる。

 

また、脳は休憩中にも新たに学んだ情報を整理・統合してしっかり働いてくれる。

 

○思い出すことは、イメージを再現すること。
イメージとは、視覚だけでなく、味覚、臭覚、聴覚、触覚である。
あたかもそれが現実であるかのように、生き生きとイメージするほど脳の中に強い印象が残り、後で想起しやすい。

 

イメージから連想の動きを引き出す。
脳は「関連づけ」によって学習し、記憶している。
なので、何か学んだら、その知識を「場所」などを関連づける。

 

●記憶のコツ

記憶を高めるには

 

1)覚えたい事柄をイメージとしてイキイキと思い浮かべる。
2)すでによく知っていることと関連づける。

 

このことを、「IAM」と呼ぶ
Imagination + Association = Memory

 

マインドマップは、これを具現化したもの。

 

<記憶の10の基本原則>

・イメージする力を高めるための基本原則

 

1)五感を活用
視覚・聴覚・臭覚・味覚・触覚に加えて、筋覚(筋肉の収縮を知覚する感覚)といった感覚のうち、いくつかの感覚から受ける情報に意識を向ける。

 

2)大げさに誇張
イメージを膨らませて、大きさや形、音などを誇張すれば、想起しやすい。

 

3)リズムと動きを活用
リズム感のある動きのあるイメージにしたり、立体感を出したりして目立たせると効果的。

 

4)カラフルに色づけ
色は記憶を生き生きとさせ物事を覚えやすくする。
カラフルなノートは見て楽しく、視覚効果によって脳が刺激され記憶に残りやすい。

 

連想力を活かすための原則

5)数字の活用
順序づけると記憶しやすい。
膨大な記憶中の特定の情報にアクセスしやすくなる。

 

6)記号の活用
シンボルやマークは記憶に残りやすい。
必要に応じて、オリジナルの記号を作りノートに使うとよい。

 

7)順番をつけてパターン化
順番をつけると体系的に整理され記憶しやすい。
距離や高さ、重さ、大きさなどでグループ化して、その中で順番に並べたりすると同様の効果がある。

 

・右脳と左脳の両方を活用するための原則
8)魅力的なイメージ
魅力的なイメージのほうが記憶に残りやすい。
たとえば、セクシーなイメージなど

 

9)ユーモアを活用
笑えるほどおもしろいことは、それを想像するのが楽しいから、何度でも想起しやすい。

 

10)ポジティブなイメージ
ワクワクした状態だと記憶力が高まる。
脳が、居心地のよい出来事に戻りたがるからである。
反対に、思い出したくない出来事は、脳によって封じ込められたり修正されたりすることが多い。

 

マインドマップの効用

カラフルで目に楽しいので、「リラックス」した状態に入りやすい
リラックスすると、集中でき、情報を取り出しやすい。
また、関連のないデータの脳の取り込める数は5から7項目が限界で、クラスター化(ぶどうの房のような形)して、
データ同士が連結して理解・吸収する必要がある。

 

記憶術の種類

【リンク法】

記憶したいことと、「キーワード」を関連つけると、これが記憶の鍵になる。
言葉だけでは不十分で、キーワードよりイメージに転換したほうが、さらにパワフルである。
脳は、映像をイメージするほうがずっと覚えやすい。
このキーイメージをひとつひとつストーリーでつなげるのが、「リンク法」である。

 

思い出すには、もう一度、同じ映像を再現するだけでいい。
想像力を発揮させ、空想し、ストーリーを思い描けば、すでに多くの知識を持っている大人のほうが、はるかにすぐれた記憶力を手に入れられる。

 

【ナンバーシェイプシステム】

1から10までの各数字に対するイメージのリストを作る。
数字から絵を作り出す。
イメージは強烈かつ単純であるべきである。

 

記憶したいことと各イメージリストを無理矢理関連づける。
たとえば、ヨット+火山
ヨットが数字4のイメージリストであり、大海原で巨大な火山が爆発し、ヨットが吹き上げられていることをイメージする。

 

【ナンバーライムシステム】

数字の発音と韻(ライム)の一致するものをイメージする。
発音の語呂合わせで、1から10までの各数字に対するイメージのリストをつくる。
記憶力を高めるためにはイメージをチェックする

 

1)連想した内容は魅力的か?
2)他のイメージと比べてユニークか?
3)もっと大げさにしたり想像力を膨らませられるか?
4)もっとカラフルにできないか?
5)もっと動きを加えられないか?
6)イメージとイメージを強く結びつけているか?
7)ユーモアや誇張は十分か?

 

イメージのバリエーションを増やすことで、新たなイメージのリストを作り出すことができる。

 

たとえば、

 

ヨットのイメージに、氷から突き出ているようにイメージする。
ヨットのイメージに、きらきら金色に輝かせる。
ヨットのイメージに、完全に透明にする。
ヨットのイメージに、甘い香りをつける。
など・・・

 

【メモリールーム法】

家や玄関や部屋のイメージを使う。できるだけ具体的にイメージして、そこにあるものと記憶したいものとを関連づける。

 

記憶力を高めるコツ

 

1)部屋のアイデアを書く。
2)部屋の設計図を描く。

 

部屋に置くものと場所を特定する。最初は10個から始める。

 

3)イメージの散歩をする。
室内のどこにどんな順で置かれているか正確に記憶する。

 

4)五感を使う。
室内の色、手触り、におい、音を体感する。
これらが完璧にできたら、メモリールームにあるすべてのものが、記憶のハンガーとして使える。

 

(参考)
本を読んで、難しいところは後回しにしてする良い。
後回しにしても脳は答えを探し続ける。
別のところの情報を得ることで、関連づけられる情報が増え、それによって理解が助けられる。
また、難しいところで立ち止まると、ストレスが高まり時間の無駄になる。

 

最後に、
「想像力は、知識よりも大切だ。知識には限界がある。想像力は世界を包み込む。」
(アインシュタイン)